読書好きなしがないサラリーマンの日常

日々の生活を何とかかんとか乗り切るブログ

仕事の人間関係ってどうしてあんなに殺伐としてしまうのだろうか

 昔からそうなのだが、最近輪をかけて世の中のニュースというものに興味がなくなってきた。世界規模の大きな問題の話をされても、殆どの場合それが自分に与える影響度ってたかが知れてると思います。それだったらもっと身近なことに注意力を割いたほうがいいのでは? と思ってしまいます。政治の話とかしてる大人とかがいてもなんだかな~と感じてしまうのはきっと俺自身が駄目な大人だからなんだろうなあ。

 その人達が仮に政治の世界に入っていって、「俺がこの日本を変えてやろう!」とか思っているならばそれは必死に勉強するべきだと思んだけどさ。あんまり自分に関係ないことを勉強してもしょうがないと思うんですよ。社会人として知らないと恥ずかしいからとかいう理由で色々武装しても意味ないんじゃないかと思ってしまう。

 もうすぐ30になるというのにこの辺の考え方が子供すぎるな・・・。

 さて、短編第二弾を書いてみました。本当は毎日書きたいんだけど流石に残業がある日は厳しい。先日の短編はタイトルつけなかったから考えてみた【霊と雑貨屋の話】というなんの捻りもない。今回のは【仕事ができない人達の話】というタイトルにしよう。

仕事ができないのは俺の方だよほんと・・・。

 

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【仕事ができない人達の話】 

 アパートの隣人が何者かに殺されたというのに、いつもと変わらず会社に向かう自分とは一体何なのだろう。そんな奇妙な感覚が青年にはありました。しかし、当たり前のことですが隣人が亡くなろうと、青年には会社に行ってこなさなければならない仕事が待っているのです。

 その日、彼は仕事で大きな失敗をしてしまいました。上司からは叱責を受け、担当しているプロジェクトを外されてしまいました。

 元々青年は仕事の取り組み自体は真面目なのですが、どうにも要領が悪いせいか会社からの評価は今ひとつといったところでした。それが、今回の失敗によって余計に評価を落としてしまったものですから、彼はひどく落ち込みました。

 会社からの帰り道、青年は目に止まったバーに寄ってみることにしました。ぐだぐたと悩んでいるよりもこの際飲んで忘れてしまった方が良いに違いないと思いました。

店に入るとカクテルを注文し、カウンター席で一人静かに飲むことにしました。しかし、やはり脳裏に浮かんでくるのは仕事での失敗のことでした。

 どのみちスイスイと昇進していくようなタイプの人間ではないのだから、今更一つや二つ失敗したところで構わないじゃないかと自身を叱咤しますが、マイナスの感情は中々振り払うことはできません。まるで紙に落ちたインクのように、拭い去れない後悔の念が青年を苛みます。会社に与えてしまった損害金額を思うと溜息をつかずにはいられませんでした。

 そうしてしばらくの間青年は誰と話すでもなく一人で飲み続けていましたが、ふと横の席に離れて座る若い女性の方に視線をやりました。彼女は青年が店に入ってから少ししてやってきた客で、同じように一人でカクテルを嗜んでいるようでした。

 青年が気になったのは彼女の溜息の多さです。何か嫌なことでもあったのだろうか? あるいは自分と同じように仕事で大きなミスをやらかしたのかもしれない・・・。一旦そう思うと彼女の仕草や挙動が気になって仕方がなくなり、思い切って声をかけてみることにしました。

 お互い特に話し相手もいなかったことから、二人はしばらくの間互いに当たり障りのない世間話をすることになりました。それは単に時間を潰すためだけの会話でした。しかし、青年は女性が何故あんなにも辛そうな表情をしていたのかが気になります。

 彼は改めて彼女が落ち込んでいた理由を聞きました。相手の事情に踏み込みすぎた行為ではないかと少しだけ後ろめたさがありましたが、眼の前にいる若く美しい女性が一体何に対して苦悩しているのかを知りたかったのです。

「実は最近仕事で大きな失敗をしてしまいまして・・・」

 女性は俯きがちになりながら口にします。その声はともすれば消え入りそうなほど弱々しいものでした。

「もしかしたら私は今の仕事に向いていないのかもしれません」

「あまり落ち込まないで下さい」

 青年にとって、あるいはそれは自分にかけた言葉なのかもしれませんでした。それでも女性が元気を取り戻してくれるきっかけになればと願わずにはいられません。

「くじけちゃだめですよ。僕も今日はあなたと同じように仕事で失敗しました。でも失敗は取り返せばいいんです。大抵は取り返せないことなんてないんですから」

 女性を元気づけるために声を掛けているつもりが、喋っていると青年も段々とその気になってきました。失敗は取り返せばいいのだと、そう思うことによって幾分心が楽になるようでした。

「そうですね。あなたの言う通りなのかもしれません。ありがとうございます。私、もう少しだけ今の仕事を頑張ってみようと思います」

 別れ際、女性はお礼を言って去っていきました。青年は自分の言葉が少しは彼女の励ましになっていれば良いなと思いました。それにしても、彼女の失敗とは結局何だったのだろう? 青年はそこだけが気になりましたが、あまり深く詮索しないことにしました。野暮な真似をしたくなかったのです。

 

 ある日の夜のことです。目が覚めると青年は椅子に縛られていました。両腕を後ろで固く縛られているため、満足に身動きがとれません。一体これはどういうことかと頭の中は混乱するばかりですが、そこにいつか聞いたことのある声が聞こえてきます。

「目が覚めましたか?」

 声がした方へ、青年は顔をあげます。眼前にはあの日バーで会った女性が立っていました。

「一体これは、何がどうなっているんだ? どうして椅子に縛られている? いや、そもそも僕の部屋に何故君がいるんだ?」

 次から次に頭に浮かんだ疑問が口をついて出ます。しかし、思うように呂律が回りません。まるで強い睡眠薬でも飲んだ時のように頭がはっきりとしませんでした。

「私、あなたにもう一度お礼が言いたかったんです」

 女性は穏やかな笑みを浮かべています。

「あの日あなたの言葉が無ければ私は今の仕事を止めていたでしょう。何せ初めての仕事とは言え対象となる人を間違えてしまったのですから・・・」

 青年は朦朧とする意識の中で思い出します。アパートの隣人が何者かに殺されてしまった事件のことを・・・。

「本当はあの日、殺される対象はあなたでした。何の罪もないのに間違って私に殺されてしまった人には申し訳なく思います。またそれを償うこともできません。でも、あなたの言葉に救われました。私はいつか立派な殺し屋になります」

 女性はにこりと微笑みます。気がつくと、いつの間にかその手には拳銃が握られていました。