読書好きなしがないサラリーマンの日常

日々の生活を何とかかんとか乗り切るブログ

弱虫ペダル二年生編

 弱虫ペダルはとうとう古賀VS手嶋の部分までやってきました。この辺りはかなり熱い展開なので好きです。久しぶりにKindleで読み返していますがこの作者の絵は勢いの表現が本当に上手い。戦いの熱さや感情の高ぶりなんかが凄く伝わってくきますね。部活ものでは一番熱いまである。一方でけものフレンズが流行している世の中・・・。今は何が流行するのかマジでわからん。まあ何が流行しても自分が変化することを恐れず柔軟な心は常に忘れないでいたいものです。

 

 短編は4つ目。キノの旅っぽい皮肉が効いた作品ばかりな気がするけど、考えてみたらそもそも俺が読んだことのある短編ってキノの旅星新一村上春樹くらいなんだよなあ。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

④おすすめの本の話

 

 その青年は駅前にある小さな本屋で働いていました。元々在学中からアルバイトとして働いていましたが、卒業してもこれといった就職先が見つからず、半ば仕方なしに今の仕事を続けているのです。

 本屋はお世辞にも繁盛しているとは言えませんでした。通信販売が普及した影響か、最近は客も離れていく一方です。そうしたこともあり、店主の老人が殆ど道楽で続けているようなお店でした。

 

 ―――ある日のことです。

 いつものように客が訪れるのをぼんやりと待っていたところ、一人の妙齢の女性が店を訪れました。

「すみませんがちょっとよろしいでしょうか?」

 女性は青年に声を掛けます。

「この店で一番面白い本はどれでしょう?」

 女性の問いかけに対し、青年は顎に手をあてて考えます。本屋で仕事をしていることもあり、彼がこれまで読んできた本はかなりの数にのぼります。店にある本となると対象は絞られてしまいますが、それでも面白いと感じた本はいくつもありました。

 青年は悩んだ末、今話題になっている恋愛小説の本をすすめました。世間でも評価が高く、青年も気に入っている一冊でした。

「きっと気にいると思います」

 しかし、後日店を訪れた彼女の感想はかんばしいものではありませんでした。本には男女の心温まるラブストーリーが描かれていたのですが、彼女はもっとハラハラしたスリルのある展開が好みだったのです。本を読んでいてもひどく退屈だったそうです。青年は自信を持ってすすめただけに思わず落胆してしまいました。

 

 ―――また別の日のことです。

 いつものように客が訪れるのをぼんやりと待っていたところ、一人の少年が店を訪れました。

「すみませんがちょっとよろしいでしょうか?」

 少年は青年に声を掛けます。

「この店で一番面白い本はどれでしょう?」

 少年の問いかけに対し、青年は顎に手をあてて考えます。本屋で仕事をしていることもあり、彼がこれまで読んできた本はかなりの数にのぼります。店にある本となると対象は絞られてしまいますが、それでも面白いと感じた本はいくつもありました。

 青年は悩んだ末、今話題になっている冒険小説の本をすすめました。世間でも評価が高く、青年も気に入っている一冊でした。

「きっと気にいると思います」

 しかし、後日店を訪れた少年の感想はかんばしいものではありませんでした。本にはファンタジー世界の冒険が描かれていたのですが、少年が好きなドラゴンがその本には出てこなかったのです。本を読んでいてもひどく退屈だったそうです。青年は自信を持ってすすめただけに思わず落胆してしまいました。

 

 ―――またまた別の日のことです。

 いつものように客が訪れるのをぼんやりと待っていたところ、一人の中年男性が店を訪れました。

「すみませんがちょっとよろしいでしょうか?」

 男は青年に声を掛けます。

「この店で一番面白い本はどれでしょう?」

 男の問いかけに対し、青年は顎に手をあてて考えます。本屋で仕事をしていることもあり、彼がこれまで読んできた本はかなりの数にのぼります。店にある本となると対象は絞られてしまいますが、それでも面白いと感じた本はいくつもありました。

 しかし、最近すすめた本はどれも面白くなかったといった感想のものばかりでした。その事実は青年にとってもあまり気持ちがいいものではありません。そこで、何だか真面目にすすめるのもバカらしいなと考え、今度は逆に一番退屈に感じた本をすすめてみようと思いました。

 青年は悩んだ末、店に入荷してからも殆ど売れていない歴史小説の本をすすめました。世間でもあまり話題に上がることはなく、青年もこれといって褒める部分がないと感じる一冊でした。

「きっと気にいると思います」

 しかし、後日店を訪れた男の表情には柔らかな笑顔がありました。彼は青年に対して声を掛けます。

「この前は本を選んでくれてありがとう。実はあの時言おうかどうか迷っていたんだけど、本を書いたのは僕なんだ。君が面白い本として勧めてくれた時は本当に嬉しかったよ」

 男の口調はあまりにも幸せそうでした。勿論青年は本当のことを話せませんでした。