読書好きなしがないサラリーマンの日常

日々の生活を何とかかんとか乗り切るブログ

ELeagueについて

 現在アメリカで賞金総額25万ドルのストリートファイターⅤのリーグ戦が行われている。どうやら日本だと法律の問題で高額賞金の大会を開くことができないらしいが、こうした夢のある大会を日本でもぜひ開いて欲しいものだ。

 今回はプロゲーマーのmov選手対ときど選手の元麻布高校同級生対決が実現して個人的にはかなり面白かった。背景がある選手同士の戦いはいいね。

 短編は5つ目を書いた。短編というかシーン描写。

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⑤面接とこれからの話

 

「あー疲れた疲れた」

 ミナミは部屋に戻るとスーツ姿もお構いなしとベッドの上に倒れ込みました。ごろんと仰向けになると天井を見上げます。それから細く長い溜息をつきました。

「現実はきついなあ・・・」

 その声は誰に届くこともありません。虚しく部屋の中に響くのみです。

 ミナミは大学を中退してからというもの、文字通り数年間この部屋から外に出ることはありませんでした。その間彼女は水底に沈んだ貝のように口を閉ざし、外界の誰とも関わろうとはしませんでした。

 しかし、このままではどこにもたどり着くことができないことはミナミにもわかっていました。いつかは聖域から足を踏み出す勇気を出さなければならないのです。

 ミナミは待ちました。きっと全てのタイミングが一致する時が来るはずだと思いました。気持ちの整理をつけるため、彼女は複雑に絡まった糸を一つ一つゆっくりと丁寧に解いていきました。その作業なく再び外に出て行くことはできないと理解していたのです。そして、彼女にとってとうとうその日が訪れたのでした。

 ―――それにしても我ながら酷かった・・・。

 憂鬱な気分に苛まれながらも、ミナミは先ほどの就職面接を振り返ります。

 

 面接官はいかにもベテランといった感じの男性社員でした。銀縁のメガネをかけた彼の表情は理知的で話し方もスマートでした。きっとこれまで何人もの人達の面接を手がけてきたに違いないと感じました。

 この男性はちゃんとした社会人なのだ、とミナミは思いました。

 ―――ちゃんとした社会人。

 その意識が、目の前に座る彼との間にはっきりとしたラインを引いていきます。それは向こう側とこちら側の隔たりであり、絶対的な境界でした。今までの自分と比較してしまい、あまりにも遠すぎる距離に絶望感すら抱きそうになりました。

 途端に表情が強張り、足元が震えだしました。スカートの上に置いた手からはじっとりとした汗が滲み出します。落ち着かなくてはと思うほど、心臓が早鐘を打ちます。

 彼女は面接の雰囲気に完全に飲まれてしまいました。そうして、初めての就職面接は散々な結果に終わったのでした。

 

「まいったね。まさかこんなに自分が喋れないとは思わなかったよ」

 ミナミは高校の時の友人に電話をかけ、面接の感想を話します。なるべく何でもなさそうな口調で取り繕いますが、冷たい現実を前にしてどうにも上手くいきませんでした。恐らく電話越しの友人にも見透かされているに違いないと、半ば諦めの気持ちになります。

「でもミナミはずっと家から出てなかったんだよね? だったら大きな進歩じゃない」

「そうかな? でも落ち込むよ」

「当たり前でしょ。本気でやったんだから」

 ―――そうか、本気でやったら落ち込むのは当たり前なんだ。この数年間そんな当たり前のことも忘れていたんだ。

 ミナミは電話を終えると静かに目を閉じました。そして、彼女はこれからのことを考えました。これまで考えてこなかったこれからのことを―――。